探偵事務所・興信所などの探偵・調査業に各種調査を依頼してからトラブルとなり、国民生活センターへ相談しているケースがあります。 ここでは、過去の「探偵調査に係る契約の解約に関する紛争」を抜粋してご紹介します。
【事案18】探偵調査に係る契約の解約に関する紛争(23)
1.当事者の主張
<申請人の主張の要旨>
平成29年12月下旬、相手方から、過去に被った投資詐欺の損失を取り返せるとの勧誘電話があった。いったんは断ったものの、当時の損害額を尋ねられたので1,200万円と答えた。
3日後、相手方からパンフレットが届き、到着確認の電話もあった。相手方に費用を尋ねると、「48万円かかるが、少しお金を出せば損害を取り戻せる」と言われた。
詳しい話を聞くため、平成30年1月中旬、相手方事務所に出向いたところ、相手方担当者は、持参した書類をほとんど見ないまま、損失の6~7割は取り戻せる、民事で弁護士に依頼して取り立てると一方的に何度も話し、契約書を出してきた。相手方が損失を取り戻してくれるのだと理解し、サインした(以下「本件契約①」という。)。契約内容の説明はなかった。料金の51万8,400円(税込)は、翌日、銀行振り込みで支払った。
契約から10日後、相手方から調査報告書ができたと呼び出された。相手方事務所に行くと、追加調査があるとして相手方代表者が出してきた契約書には前回より多額の費用(213万8,400円)が記されていた。必要ないと言ったが、相手方代表者は、先に預かった費用と一緒に投資会社へ請求して取り戻せると言うので、その言葉を信じて2回目の契約書にサインした(以下「本件契約②」という。)。1回目の契約同様に、契約内容の説明はなかった。相手方代表者は「クーリング・オフはできませんから」と言った。
2月になっても相手方から連絡はなく、損失を取り戻せるか不安になったので、相手方に契約の取り消しと返金を電話で求めたが、相手方は拒否した。3月、その後の経過を相手方に尋ねたが、担当者不在で折り返しの連絡もないことが続いた。一度、弁護士が決まったと言われたが、弁護士名は教えてくれなかった。
4月下旬、相手方の調査担当者から電話があり、投資会社の関係者2人が見つかり、お金を持っている、取り立てるには1人20万円必要だと言っていたが、電話を切った。
消費生活センターに相談し、相手方に解約を求めて書面を発したが、話し合いは進まなかった。 相手方の対応は納得できない。契約がなかったこととして、既払い金全額(265万6,800円)を返金してほしい。<相手方の主張の要旨>
和解の仲介の手続に協力する意思がある。 申請人の主張に対し争う。申請人が主張する 1月上旬のパンフレット送付、同月中旬の当社来訪時の状況、また、同月下旬の報告書を申請人に渡した日の状況については説明が間違っている。
申請人が当社に来訪した際、役務の説明において、損失を取り戻す等の言辞は用いていない。 あくまでも探偵業者として調査を行うとしか述べていない。1回目の調査結果報告書を申請人に提示した際、申請人より調査継続の意向を確認したので、追加の調査契約に応じたものだ。平成30年2月ごろに電話で契約取り消しと返金を求めたと申請人は主張しているが、そのような電話を受けた記憶はない。 調査業務に関しては、きちんと仕事をし、人件費もかかっており、全額返金は考えていない。 お互いが納得いく形で紛争を終結させたい。2.手続の経過と結果(和解)
仲介委員は期日を開催し、当事者双方に対し、相手方の電話アポイント時および本件契約①、②勧誘時における、相手方の説明状況の確認を行った。契約日や契約金額以外の説明等、特に相手方において被害の回復ができると説明したか否かについては主張が対立した。
仲介委員は相手方に対し、調査契約書の記載事項について、特定商取引法、探偵業法ならびに同法解釈引用基準に照らし、依頼者(消費者)に示すべき役務内容の記載が具体性を欠いている可能性を指摘した。また、本件契約②に際し、相手方がクーリング・オフ妨害に当たる言辞を用いていた可能性があることから、その場合にはクーリング・オフが起算せず、申請人が今でもクーリング・オフを行使し得る状態にあることを指摘し、相手方に解決への歩み寄りを求めた。
それに対して相手方は、申請人の返金請求に応じる姿勢は示しつつも、探偵業について業務を終了し、解散に向けて準備をしているため、資金が残っていないとして、金額と返金条件(分割払い)について申請人に譲歩を求めた。申請人は譲歩に応じた。
このため仲介委員は、相手方が申請人に対し、本件契約②の代金相当額の返済義務を負うが、一定額の返済を果たせば残余分の支払いは免除される旨の和解案を双方に提示し、これに両当事者が同意したため、和解が成立した。引用元: 国民生活センター
本件は過去にあった投資詐欺トラブルの解決を目的として、探偵事務所・興信所では認められていない詐欺会社に対する返金交渉業務を依頼した際の解約トラブルです。
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