探偵事務所・興信所などの探偵・調査業に各種調査を依頼してからトラブルとなり、国民生活センターへ相談しているケースがあります。 ここでは、過去の「探偵調査に係る契約の解約に関する紛争」を抜粋してご紹介します。
【事案21】探偵調査に係る契約の解約に関する紛争(4)
1.事案の概要
<申請人の主張>
平成24年5月頃、ある人物の所在調査をしてもらうため、相手方に調査料金52万5,000円を支払い、調査を依頼した。 後日、相手方から、所在が判明したが、詳しい所在を教えるためには成功報酬として26万2,500円を支払う必要があると言われたので、言われたとおりに支払った。 しかし、その後、相手方から出された調査結果報告書を弁護士に見せたところ、不十分な報告書と言われたので、相手方に再調査を求めた。相手方からは当該人物が住んでいるとされる家の写真を送ってきた。 そこで自ら現地を訪れたが、その場所には住んでいなかった。 相手方の調査結果には納得できない。相手方に支払った全額を返金してほしい。
<相手方の対応>
和解の仲介手続に応じる。 成功報酬である26万2,500円については返金する意思はあるが、着手金である52万5,000円については、返金できない。
2.手続の経過と結果
本事案に係る期日においては、申請人の申請内容及び相手方の回答書、答弁書の内容を踏まえ、両当事者より、本件契約に至る経緯や相手方担当者からの概要書面内容の説明状況、調査事項の認識等について聴取した。 申請人からの聴取によると、本件契約の目的は、申請人が捜索している調査対象者の現在の居所を明らかにしたかったとのことであったが、相手方の調査の適正性はともかくとして、結果として相手方から提示された調査報告書は、現在居住しているとはみられない住所のみ記載されたものであり、期待していた内容のものではなかった。 また、委任した弁護士を通じて新たに追加調査を依頼したが、写真付の調査報告書が提出されたのみであり、調査対象者の居所が判明したわけではなかったとのことであった。なお、本件契約締結時、相手方からは調査に係る稼働日数や単価についての説明はなく、契約書及び重要事項説明書においても記載がなかったとのことであった。
一方、相手方からの聴取によると、本件契約の契約書をみると、調査内容は「身辺調査(所在)」と定められており、加えて、報酬の特記事項として、「調査対象者の所在が判明した時」と規定されていることを踏まえ、身辺調査は全体の調査の一部であり、あくまでも申請人の調査の意向が契約書上の特記事項の記載に反映されているとのことであった。また、委任契約書や重要事項説明書については、適宜、該当書面の改定を加えているが、本件契約締結時、申請人に対しては、契約書及び重要事項説明書の記載内容を全て説明しているとのことであった。
仲介委員は、相手方に対して、契約条項の不当性、特に消費者契約法9条により無効とされる可能性のある条項が記載されていることや、契約書において探偵調査に係る稼動の具体的内容、稼働日数と単価(算定根拠)が不明確であること等を指摘したが、相手方は明確に回答しなかった。以上の両当事者の聴取内容を踏まえ、仲介委員より両当事者に対して、互譲の精神に基づいて一定程度の歩み寄りを求めた結果、相手方は、成功報酬26万2,500円を含む52万5,000円を一括にて支払うことより本事案の解決を図るという和解提案を提示し、申請人は、本件紛争を早期かつ円満に解決したい等の考慮により、これに同意したことから、和解が成立した。
引用元: 国民生活センター
本件は特定人物の所在調査を主たる目的として、探偵事務所・興信所へ調査を依頼した際の解約トラブルです。
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